損の無い豆知識

損の無い豆知識

myroom1いくら口先で言っていても、何も書き残していないと、いざとなれば実現しない。正式の遺言状は、公証人に頼むなど、むずかしいこともあって、五○歳ぐらいで元気な人はとてもする気がしないだろう。けれども、普通の家庭では、そんなに厳密な方法は必要ない。親戚がもめるほどのことがない場合、自分で書いた文章に、自分で署名し、実印があればそれを押しておけば充分ただし、お金は、日常の地味な暮らしがしていけるだけあれば、それ以上は、安心料である。いくらあれば一○○パーセント大丈夫とは言えないのではないだろうか。ひとつだけ言えるのは、たくさん持っている人ほど幸せな人生とは断定できないことだ。本人の字と本人のサインと印、そして封をして、封のところにも自分の名前を書いておけば、法律的にも相当強い効力を持つ。こうしたことも含めて、夫と妻が、定年後の経済的な問題を話し合うことは、とてもよいことだと思う。バブルがはじけた後だから、財テクを他の人より要領よくしたいと、打ち込んで研究する人は減ったと思う。しかし、財テクを考えるのが好きな人、手堅く貯金だけをする人、いろいろいるだろうが、夫婦でよく話し合って、二人の合意の上ですることならいいと私は思う。夫婦で気持ちを揃えて、上手に使うことに慣れたほうがいいと思っているのだが。

「南和子の五○からの生活術」というタイトルで、一九九二年一月から週一回、東京新聞に連載させてもらったものを土台にして書いたものである。連載が始まる直前に私宅に来られた担当記者から、夫と共にインタビューを受け、それがまず記事になって残っている。それを今、読み返してみると、夫は、「社の内規に従い、六六歳で現職を退いてl」と言っているが、それより二年早く、この三月末で自分から退いて、週に二、三回顔を出せばよいソフトランディング時期に入ることになった。その記事の中で夫が答えていた「夢」も、今は現実の問題として、具体的に動き出す準備を始めている。たとえば「語学が好きだから、日本語を習いたいという外国人がいれば……」と言っていたことも、つい先日、ボランティアで日本語を教えるグループのリーダーをしている女性を、わが家に昼食に招いて、夫を紹介できた。